ぽっこりお腹と骨盤底筋の関係性

吸気優位が下腹を押し出すワケ
【冒頭:自己紹介】
こんにちは。霧島市で理学療法士として、ピラティスや運動療法を通じて「痛みの根本改善」を目指すサポートをしています、佐多です。
Sata studioではピラティスを中心としたパーソナルトレーニングを、霧島未来キッズ(KMK)では子どもたちに多様な運動経験を提供し、脳と身体を育てる活動を行っています。
【ぽっこりお腹は脂肪だけの問題じゃない】
「お腹が出てきた…」と感じると、多くの人は脂肪や体重を気にしますが、
実は呼吸のクセや骨盤底筋の働きの低下が大きく関わっているケースがあります。
特に、日常的に「吸気優位」な呼吸をしている人は、
下腹部が常に前に押し出されるような姿勢になりやすいのです。
【なぜ吸気優位になるのか?】
現代人が吸気優位になりやすい理由は、生活習慣にあります。
- 長時間の座位姿勢で横隔膜が下がりっぱなし
- ストレスによる交感神経優位(胸を開いた状態で浅く呼吸)
- 運動不足で呼気に使う腹筋群が弱い
- 常にお腹を引っ込めている(逆に呼気が浅くなる)
この状態では**吐く筋肉(腹横筋・内腹斜筋・骨盤底筋)**が使われず、
呼吸はどんどん「吸う側」へ偏ってしまいます。
【吸気優位と下腹部突出のメカニズム】
- 吸気優位=肋骨外旋が強い状態
- 横隔膜が下がったまま固定される
- 内臓が下方・前方に押し出される
- 骨盤底筋が伸びたまま機能低下
- 下腹部がぽっこりしたまま固定される
さらにこの状態では、腹圧のコントロールが効かず、
- 下腹だけが前に出る
- 下腹を引っ込めると息がしづらい
- 咳やくしゃみで尿漏れする
といった症状も出やすくなります。
【骨盤底筋と呼吸の連動】
骨盤底筋は横隔膜とペアで働くインナーユニットの一部です。
- 吸気:横隔膜が下がる → 骨盤底筋も下がって伸張される
- 呼気:横隔膜が上がる → 骨盤底筋が収縮して引き上がる
吸気優位で「吐けない」状態では、骨盤底筋が常に伸びたままになり、
筋肉としての張力を失いやすくなります。
【改善のためのポイント】
ぽっこりお腹を改善するためには、
呼気を取り戻し、骨盤底筋を呼吸と連動させることが重要です。
1. 呼気ファーストの呼吸リセット
- 仰向けで膝を立て、骨盤を軽く後傾
- 息を吐きながら肋骨を閉じる
- 下腹部を軽く引き込み、骨盤底筋を引き上げる意識
- 吸気は背中(後縦隔)に空気を入れる感覚
2. 日常姿勢の見直し
- 長時間座る場合は時々立って深呼吸
- 胸を張りすぎない(肋骨を軽く閉じる意識)
3. 骨盤底筋の単独トレーニングは避ける
- 骨盤底筋だけ鍛えるより、横隔膜・腹横筋との連動を回復させるほうが効果的
【まとめ:まずは“吐けるお腹”に】
ぽっこりお腹を引き締めたいなら、腹筋運動の前にまず呼吸を見直すべきです。
吐くことで、骨盤底筋は自然に引き上がる。
呼吸が整えば、お腹も整う。
脂肪だけでは説明できない下腹部の悩みは、
インナーユニットの再教育から解決できます。
コメント