慢性痛サイクルを断ち切る鍵は“運動”にある|回避・代償・無力感からの脱却方法

こんにちは。霧島市で理学療法士として、ピラティスや運動療法を通じて「痛みの根本改善」を目指すサポートをしています、佐多です。
Sata studioではピラティスを中心とした運動療法ができるパーソナルトレーニングを、
霧島未来キッズ(KMK)では子ども達に楽しく多種多様な運動経験を提供し、脳と身体を育てる活動を行っています。
【導入:治療しても、また痛くなる理由】
- 整骨院に通っても…
- 電気をかけても…
- 薬を飲んでも…
「その場では良くなるけど、また痛くなる」
慢性痛で悩む人の多くが、同じ悩みを抱えています。
ではなぜ、治療を続けても根本からは改善しないのでしょうか?
その理由は、“痛みそのもの”ではなく――
「痛みが作る“サイクル”から抜け出せていない」からです。
【慢性痛が続く“負のサイクル”】
慢性痛は「組織の損傷」だけで起きているわけではありません。
それよりも、
- 動かさないこと
- 不安に支配されること
- 身体の使い方が偏ること
といった要素が、脳や神経に“痛みの記憶”を作ってしまい、
どんどん抜け出せなくなる悪循環に陥っていきます。
📉典型的なサイクル:
- 痛い
- 動かさない(回避)
- 筋力・柔軟性低下/代償動作
- より動かせない
- 痛みに対する不安・恐怖増加
- 自己効力感の低下
- さらに動かさない…
この繰り返しが“痛みのループ”を強化してしまうのです。
【自己効力感とは?】
ここでカギになるのが、**自己効力感(Self-efficacy)**です。
簡単に言うと、
「自分はできる」と思える力
です。
自己効力感が高いと、人は「やってみよう」「動いてみよう」と前向きになれます。
逆に低いと、痛みや不安に飲まれ、動くこと自体を諦めてしまいます。
慢性痛の改善には、この自己効力感の回復が必須です。
【“少しだけ動けた”が人生を変える】
私は、どんなに痛みが強い方にも、
まず**「小さくても動けた」体験**をしてもらうようにしています。
- 息を吸って、背中が少し膨らんだ
- 仰向けで骨盤を左右にゆらせた
- 足首をゆっくり回せた
これだけでも脳は反応します。
「動いても大丈夫だった」経験が、回避行動を断ち切る第一歩です。
【ピラティスのような“やさしい運動”の意味】
ピラティスは、
- 寝たままでもできる
- 小さな動きから始められる
- 呼吸を使ってリラックスできる
- 痛みを再現せずに神経に刺激を与えられる
といった特徴があり、
慢性痛の初期アプローチに非常に向いています。
特に「動かすのが怖い」という方にとって、
“動けた実感”を与える最適な入口になります。
【代償動作にも気づけるようになる】
慢性痛の方は、気づかないうちに「代償動作」が染みついていることが多いです。
(例:腰をかばって、首や膝に負担がくる など)
ピラティスの分節運動や呼吸制御を使うと、
- 「あ、今無意識に力んだ」
- 「ここだけ動かすのって難しい」
といった身体の使い方への気づきが生まれます。
この“気づき”が、自分の身体の感覚を取り戻すカギになります。
【まとめ:痛みから抜け出す鍵は「動いていい」と思えること】
慢性痛を断ち切るためには、
まず**「自分は動いても大丈夫だ」と脳に伝えること**が必要です。
- 小さな動きからでもいい
- 呼吸から始めてもいい
- 毎日じゃなくてもいい
それでも、“自分で動けた実感”がある限り、
脳は確実に変化し、痛みのサイクルを断ち切ることができます。
動けば、抜け出せる。動けば、変えられる。
それが、私が運動療法を大切にする理由です。
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