呼吸で「反りすぎ」てませんか?

丸まる vs 反る――“呼吸の振り子”と不調の関係
こんにちは。霧島市で理学療法士として、ピラティスや運動療法を通じて「痛みの根本改善」を目指すサポートをしています、佐多です。
Sata studioではピラティスを中心としたパーソナルトレーニングを、霧島未来キッズ(KMK)では子どもたちに多様な運動経験を提供し、脳と身体を育てる活動を行っています。
【呼吸は“反る⇄丸まる”を繰り返す振り子運動】
呼吸は、空気を吸って吐くだけでなく、
実は**「身体を反らせて、丸める」動きの繰り返し**でもあります。
▷ 吸うとき
→ 身体は自然と反りかえる(伸展)
→ 肋骨が外旋して胸が開く
▷ 吐くとき
→ 身体は丸くなる(屈曲)
→ 肋骨が内旋して閉じる
この“反る ⇄ 丸まる”のバランスが保たれていれば、
呼吸だけで自律神経や姿勢のリセットが自然にできるのです。
【反りすぎる人=吸気優位の人】
ところが、現代人には「反りすぎ=吸気優位」の人がとても多いです。
- 呼吸が浅くて吸ってばかり
- 胸を張った姿勢が“良い”と思っている
- 肩が上がりやすい、背中が固い
- 常に交感神経(興奮・緊張)が優位
このような方は、身体が**“反ったまま戻れない”**状態になっています。
つまり「吐いて丸まる」動きができなくなっているのです。
【“反り姿勢”が続くとどうなる?】
吸気優位=反りかえった姿勢が習慣化すると、次のような不調につながります。
不調・症状 | 背景となる身体の変化 |
---|---|
肩こり・頭痛 | 肋骨が外旋し、肩がすくむ/首の緊張増大 |
腰痛・反り腰 | 背骨が伸展しすぎ、腹圧が抜ける |
呼吸が浅い | 肋骨が開いたまま → リブフレア |
背中が硬い | 後縦隔(背部の胸郭)が動かない |
内臓不調 | 横隔膜と骨盤底筋の連動が弱い |
自律神経の乱れ | 交感神経優位の持続状態 |
【“丸まる呼吸”で整う身体】
吸気優位による不調から抜け出すには、
「丸まる呼吸=呼気をしっかり出す」ことが大切です。
🔽 呼気=身体を丸める動き(屈曲・肋骨内旋)で得られる効果:
- 肋骨が閉じて腹圧が入りやすくなる
- 後縦隔(背中側の胸郭)が拡がる準備ができる
- 横隔膜が弛緩し、呼吸が深くなる
- 骨盤底筋と連動してインナーが働く
- 自律神経が落ち着き、副交感神経が優位に
【ピラティスで“吐ける体”を再学習】
Sata studioでは、反りすぎタイプの方に向けて、
まず呼気を中心とした「丸まりポジション」でのエクササイズを行います。
- 背臥位・四つ這い・座位などで重力を調整
- 肋骨内旋を促す手の接触やポジショニング
- 吸うときに背中(後縦隔)が拡がるようなキューイング
→ そのために、あえて吐いて丸まるポジションをつくっておく - 呼気で骨盤をコントロールする練習(骨盤後傾)
身体が“吐ける”“丸まれる”ようになると、
呼吸も姿勢も、不調もすっと軽くなります。
【まとめ:まずは吐く、そして丸まる】
呼吸で身体が反ってばかりの状態は、
「止まらないアクセルを踏み続けている車」のようなもの。
まずは**ブレーキ=呼気の動き(丸まる)**を取り戻すことが、改善の第一歩です。
吸うことより、「ちゃんと吐けてるか?」
胸を張るより、「ちゃんと丸まれてるか?」
この視点を持つだけでも、呼吸と姿勢の質が変わります。
✍️次回予告
次回は、**「呼吸とインナーユニット(腹横筋・骨盤底筋など)のつながり」**について、動作改善への応用も交えてお届けします。
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