多様性の欠如が腰痛を招く?|“ミクロな発火パターン”と筋協調の再構築

こんにちは。霧島市で理学療法士として、ピラティスや運動療法を通じて「痛みの根本改善」を目指すサポートをしています、佐多です。
Sata studioではピラティスを中心とした運動療法のパーソナルトレーニングを、霧島未来キッズ(KMK)では子ども達に多様な運動経験を提供し、脳と身体を育てる活動を行っています。

今回のテーマは、
「筋肉の使い方が偏ることで腰痛が起きる?」
という話です。特に“ミクロな発火パターンの多様性”という視点から、腰痛を捉えてみたいと思います。


【腰痛は筋肉の“働き方の単調さ”から?】

腰痛患者の筋電図(筋肉の電気的な活動)を測定すると、
健常者と比べて**「同じ筋繊維ばかりを繰り返し使う」**傾向が見られることがあります。

たとえば脊柱起立筋(背中を伸ばす筋肉)。
健康な人では、同じ筋でも繊維1〜9までが順番や組み合わせを変えながら協調的に働くため、特定の部位に負担が集中しません。

ところが腰痛のある方は、1〜3番の繊維ばかり使い続けるなど、
“使い方の多様性”が失われることで疲労や痛みが増大しやすくなります。


【ミクロな発火パターンとは?】

ここでいう“ミクロな発火パターン”とは、
同じ筋肉内の細かい繊維が「どう分担し、どう交代するか」という運動戦略です。

  • 多様性がある:筋繊維が順番に働くので、負担が分散される
  • 多様性がない:特定の繊維が働き続けて疲労・痛みが出やすい

この「ミクロな多様性の欠如」が腰痛に大きく関与すると言われています。


【筋協調の再構築が重要】

腰痛改善のカギは、

「多様な発火パターンを再学習させること」

つまり、筋肉同士の“協調”を取り戻すことが重要です。

ここで役立つのが、分節運動(背骨を一つずつ動かす動き)や低負荷ピラティスです。
背筋を単純に鍛えるのではなく、

  • 「どこを使っているか?」
  • 「どこは力を抜くべきか?」
    を丁寧に感じながら、筋肉の使い分けを再教育するイメージです。

【ピラティスがもたらす“多様性の再学習”】

ピラティスは、動きを分解してアプローチできるため、
「一度に全力で固める」動作パターンを壊すのに最適です。

  • 分節運動(背骨を一つずつ動かす)
  • 屈曲・伸展・回旋の小さなバリエーション
  • 呼吸と連動した腹筋・背筋の協調運動

こうしたアプローチにより、
ミクロなレベルでの多様性を再構築し、腰への負担を減らすことができます。


【まとめ:動きの“引き出し”を増やそう】

腰痛は「筋肉が弱いから」だけでなく、

「筋肉の使い方が単調だから」
という理由で起きることがあります。

  • 同じ動きしかできない → 特定部位に負担集中
  • 多様な動きができる → 負担分散、痛み軽減

「どんな筋肉を鍛えるか」ではなく、
「どんな使い方ができるか」を増やす」

これが腰痛改善の新しい視点です。


✍️次回予告

次回は、**「ディファレンシャルラーニング(差分学習)」**をテーマに、
“動きのばらつき”をあえて加えることで多様性を育てるトレーニング法を解説します。

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