神経可塑性とは?|脳が変わる唯一の方法は“自ら動くこと”だった。

【導入:身体を変えるって、脳を変えること】
「姿勢がよくなった」
「痛みが減った」
「歩きやすくなった」
こうした身体の変化を実現するために、
私たちは“身体”だけを見てしまいがちですが、
実は本当に変わっているのは――
“脳”です。
そしてその“脳”が変わるためには、ある原則があります。
それが今回のテーマ、
神経可塑性(Neuroplasticity)
【神経可塑性とは?】
神経可塑性とは、
脳や神経が新しい情報に応じて“つながり”を変化させる力のことです。
かつては「脳は20歳をすぎたら変わらない」と言われていましたが、
今では多くの研究で、
人間の脳は一生変わり続ける
ということが証明されています。
その変化の中心にあるのが、「シナプス」という神経の接続部です。
【シナプスの再構築が“学習”の正体】
脳内の神経細胞は、
**“どの神経と、どのくらい強くつながっているか”**で、動きや思考が決まります。
- 新しい運動を学ぶ=新しい神経回路がつながる
- よく使う回路=強く太くなる
- 使わない回路=自然と消えていく
これが「使わなければ失われる(Use it or lose it)」の原理です。
つまり、**“運動で得た変化を維持したければ、使い続けること”**が必要なのです。
【受動的刺激では脳は変わらない】
徒手療法やマッサージで、一時的に痛みが和らぐことはあります。
でもそれは、あくまで一時的な“感覚刺激”による変化でしかありません。
“脳を変える”ためには、必ず“自分で動く”ことが必要です。
これを「能動的運動(Active movement)」といいます。
【能動的運動が“脳を書き換える”】
脳の変化には以下の要素が不可欠です:
- 意識して動く
- エラーを感じて修正する
- 成功体験を繰り返す
- 適切な難易度(ちょっとだけ難しい)
これらを含んだ運動によって、
脳の中で「これは必要な回路だ」と認識され、シナプスが再構築されていきます。
【神経可塑性は“一瞬で変わる”】
神経可塑性は、驚くほど即時的に変化が起こることがあります。
- たった1回の運動で動きや痛みに変化が出る
- 触れ方や呼吸の工夫だけでスッと楽になる
- 意識の向け方次第で“本来の動き”が現れる
こうした変化はすべて、脳内の回路がその場で再構築された結果です。
【でも、定着には“繰り返し”が必要】
変化はすぐ出る。
でも、定着するには繰り返しの運動経験が欠かせません。
そして繰り返していくと、ある日ふと――
「あ、できた!」という感覚が生まれる瞬間がやってきます。
それが、**神経可塑性の“学習の証”**です。
【まとめ:脳は変わる。動けば、変えられる。】
神経可塑性は、
「動けば変わる」という希望そのものです。
でもその“動き”は、ただ身体を動かすだけでは足りません。
「意味のある、意識的な、ちょっと難しい運動」
これこそが、脳を再構築し、
動作や痛み、姿勢、機能を本当に変えていく道だと私は考えています。
✍️次回予告
次回は、「マシンピラティスの使い分け」について。
リフォーマー・タワー・チェアの特徴と活用法をお伝えします。
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